2008年6月9日月曜日

Kousuke_Kitajima

6月8日に、東京辰巳国際水泳場でジャパンオープンが行われました。北京五輪で2大会連続2冠を狙う北島康介選手が、男子200メートル平泳ぎで驚異的な世界新記録を樹立しました。ライバルのブレンダン・ハンセン選手が2006年の8月に出した記録を一気に0秒99も縮める2分7秒51をマークし、世界で初めて2分7秒台に突入しました。イギリスのスピード社の最新水着、「レーザー・レーサー」を着用し、理想とするストローク数の少ない泳ぎも完成し、北京での金メダル獲得に期待が高まっています。歴史的瞬間を目撃した約3900人の観衆から、一斉に地鳴りのような歓声が起こりました。世界新記録を示す電光掲示板の「WR」の文字を確認するやいなや、北島選手はのけぞりながら両手でガッツポーズを作って喜びを表現していました。今年の4月にアメリカのハンセン選手に続いて、世界で2人目となる2分8秒台を出したばかりで、そのわずか1ヶ月半後に、人類初の2分7秒台に突入し、しかも世界新記録を約1秒も更新という偉業です。内容は完璧で、キックが主体だった昨年までとは違い、手のかきが強化されたため推進力が大幅にアップしました。1ストローク増えるたびに、0秒1のロスタイムがあると言われており、そのロスタイムをなくすための理想とする大きなストロークの泳ぎを実現し、トータルは61ストロークで泳ぎきりました。これは北島選手が2003年に世界記録を出したときよりも9回も、そして自己最少だった4月の日本記録よりも3回も少ない数字でした。さらに「レーザー・レーサー」で推進力も増していました。この「レーザー・レーサー」は軽さや抵抗の少なさだけではなく、姿勢を保持する力も強くできています。競技の後半など、疲れたときには足の位置が下がり、上半身が浮き推進力がなくなってしまうのですが、「レーザー・レーサー」を着用していれば、疲れても足が沈まないので、後半もタイムが落ちないそうです。4月の日本選手権でも150メートルまではハンセン選手を上回っていましたが、そこから失速してしまいました。今回リードを保ち続けられたのは「レーザー・レーサー」の効果も大きいと言えるでしょう。北島選手は最高の形で五輪前最後の実戦を終えて、北京での金メダル獲得に向かいます。

2008年6月8日日曜日

Okada_Japan

先日7日に、日本対オマーンの試合が行われました。2日にホームで3-0と快勝したオマーンに前半12分に先制を許す苦しい展開でした。開始時の気温は38度と、日本では経験できない暑さにも苦しみましたが、後半8分にはFW玉田選手が得たPKをMF遠藤選手が冷静に決めて1-1の同点としました。このままゲームは終了し、アウェーでなんとか引き分けて、勝ち点7で2位をキープしました。2位の日本は、3位のオマーンとの勝ち点が3差のまま。日本が14日のタイ戦で勝てば、オマーンが次戦で引き分け以下で最終予選進出が決定するという有利な状況となりました。この日の結果は引き分けに終わったものの、チームの中心となる、中村俊輔選手の動きはまずまずでした。前半33分には左クロスで、FW大久保選手の決定機を演出、その後もスルーパスやサイドチェンジで、攻撃の指揮をとり続けました。試合後は3人目の選手の動きが足りなかったが、今までよりもチームとしての動きはよかったとコメントし、今後の手ごたえを感じた様子でした。自分が相手に研究されているからと、PKを遠藤選手に譲るなど要所要所で冷静な判断を下し、代表合流3戦で完全にチームの司令塔となりました。後半開始からはMF松井選手の仕掛けたドリブルが試合の流れを変えたと言ってもいいでしょう。前半は体力を温存するためか、MF陣が個人技で突破するのを避け、パス回し中心でそのボールを相手に奪われるという展開が多かったのですが、後半に入ってからは松井選手が2度ドリブルを仕掛けたことで、オマーンのDF陣をあわてさせていました。オマーンの選手が松井選手のドリブルをファウルで止めるしかないと知ると、長谷部選手も積極的にドリブルで仕掛けました。その長谷部選手の突破から玉田選手にボールが渡りPKの獲得につながったと言えます。日本の同点PKの直後には相手にもPKを献上してしまいましたが、GK楢崎選手のファインセーブによって苦しみながらの同点。結果としては最低限はやったと言えますが、この試合は横綱相撲で勝って欲しかったところです。

2008年6月7日土曜日

Yasuda-Kinen

明日、6月8日は春の東京競馬5週連続G1開催を締めくくる「第58回安田記念」です。今年の安田記念は比較的シンプルなメンバー構成といえます。出走馬は、1番「ハイアーゲーム」、2番「キストゥヘブン」、3番「エイシンドーバー」、4番「ニシノマナムスメ」、5番「ウォッカ」、6番「オーシャンエイプス」、7番「グッドババ」、8番「ジョリーダンス」、9番「アイルラヴァゲイン」、10番「コンゴウリキシオー」、11番「スーパーホーネット」、12番「ドラゴンウェルズ」、13番「ピンクカメオ」、14番「エアシェイディ」、15番「ブリッシュラック」、16番「アルマダ」、17番「スズカフェニックス」、18番「ドリームジャーニー」の18頭です。強力な香港勢と、ヴィクトリアマイル勢と、前哨戦である京王杯SC勢の三つ巴という様相で、それぞれ本命候補が1頭ずつ人気となっており、この3頭の比較が肝となります。まずは香港勢で、マイル部門で世界トップタイのレーティングを誇るグッドババは、7着までだった去年の安田記念よりも明らかにパワーアップしています。ただ、来日後の調整が軽めなのに加え、テンションが高いことや、騎手のオリビエ・ドゥルーズさんが日本初騎乗など、不安要素もあります。能力はメンバーの中でもトップクラスだと思われますが、力を出し切れるかどうかがカギでしょう。ヴィクトリアマイル勢で人気となっているのは、いつもながら2着だったウォッカです。前走では、遠征帰りで馬体が細くなっていた状態での2着は底力があることを証明していますが、牝馬のみのレースだったので参考外ともいえます。好材料は騎手が岩田騎手に代わってどうなるかといったところでしょうか。減点材料がもっとも少ないのが京王杯SC勢で、注目なのは1着だったスーパーホーネットよりも3着だったスズカフェニックスです。このレースでは、スーパーホーネットが中団からうまく外に出して突き抜けたのに対して、スズカフェニックスは出負けして後方から4コーナーで大きく外へ振られる形でした。これだけ距離のロスがありながら、上がり32秒9は十分逆転が期待できる内容です。あとは武騎手がどんなコースと展開を選択するかどうかだといえます。

2008年6月6日金曜日

EURO2008

欧州サッカー最強国を決める欧州選手権「EURO2008」がいよいよ明日7日に開幕します。13回目を迎える今大会はスイスとオーストラリアの共催で行われ、16チームが29日の決勝戦まで戦いを繰り広げます。2006年のドイツワールドカップはヨーロッパ勢が24年ぶりに4強を独占したという事実からも、今回のEUROはまさに世界最強決定戦です。ゲーム内容は過去最高のレベルになると予想されます。イギリスのブックメーカー「ウィリアム・ヒル」から優勝国予想オッズが発表されていますが、1番人気はドイツで、2番人気はスペイン、ワールドカップ優勝国のイタリアが3番人気となっています。やはり、こういうビッグマッチは守備が堅いチームが勝つという予想なのでしょうか。守備といえばイタリアというイメージですが、DFの中心選手であるファビオ・カンナバーロ選手が怪我でリタイアしたことで評価が下がったのだと思われます。1番人気に推されたドイツは中心選手のMFバラック選手がここ数ヶ月調子がよく、攻守のバランスがとてもいいチームです。おまけに凡ミスがほとんどない安定したチームなので、順当に行けばベスト4に食い込む確立はかなり高いと思われます。個人選手で言えば、やはりのりにのっているクリスチャーノ・ロナウド選手が注目されています。彼は今シーズン最も試合をこなした選手の一人ですが、まだ23歳と若いため体力は回復しているはずです。すでにプレミアリーグでのリーグ優勝と得点王、欧州チャンピオンズ・リーグでの優勝と得点王を獲得しており、もしもEURO2008で優勝を果たせば前人未踏の3冠を達成することになります。これは考え方によってはかつての過去最高の選手と呼ばれたスーパースター、マラドーナ選手に並ぶといっても過言ではありません。ロナウド選手の母国ポルトガルはドイツ・ワールドカップでは4位という結果に終わっており、虎視眈々とリベンジを狙っているはずです。A組を1位で抜けた場合は準決勝でドイツと対戦することが予想されますが、そこが最大のヤマ場となるでしょう。ちなみにブックメーカーの予想では、ポルトガルは4番人気となっています。

2008年6月5日木曜日

Ogasawara

4日に行われたジャイアンツ対オリックス戦で、小笠原選手の闘志がジャイアンツを救いました。この一戦だけは負けられない。そんな思いが小笠原選手のバットに宿りました。1回、ノーアウト1塁2塁の状態で鋭く振りぬいた打球がライト線へと抜け、先制のタイムリーツーベースとなり、敵地の神戸に漂う4連敗中の停滞ムードを吹き飛ばし、チームを盛り上げました。「1番打者と2番打者がチャンスをつくってくれたので、何とかつなげようと食らいついていった」と語る小笠原選手にとっては実に11試合ぶりのタイムリーで、5月20日の千葉ロッテ戦以来の2週間ぶりでした。高橋由伸選手、二岡選手、上原選手らが次々とリタイアしていく中、この試合はDHで半ば強行出場ともいえる出場でした。先月からの長期遠征、東京から福岡へ、福岡から神戸への移動日に行われた練習は首脳陣から左ひざの状態を考慮し、休養のため免除されていました。それでも小笠原選手は休まず、志願してまでバットを振り、2日にはティーバッティングとマシン打撃で1000スイング以上も、黙々と若手の誰よりも振り込みました。ソフトバンクとの2連戦前夜には内海選手、山口選手ら若手投手陣と裏方さんの計9人を食事に連れ出し、負担をかけている投手陣に対して償いの意味を込めてごちそうもしていたそうです。原監督もこの日の先制タイムリーの場面を絶賛し、目を輝かせました。故障者が相次ぎ、打線はやりくりの毎日で、この日は1番に坂本選手を入れて5番に谷選手でした。不動が代名詞だったジャイアンツの打線も今シーズンばかりは影をひそめています。56試合で実に31通り目のオーダーで臨んだこの試合は、1回には坂本選手がチャンスを作り出し、谷選手は7回に貴重なダメ押しタイムリー。今シーズン2度目の先発全員となる13安打を放つなど、打順変更が打線を活気づかせていました。寡黙でマイペースというイメージの小笠原選手ですが、ジャイアンツでの2年目を迎え、実はユニークというキャラクターがチーム内に浸透してきました。今後もムードメーカーとしてチームをけん引し、少しでも勝利に近づくよう導いていくでしょう。

2008年6月4日水曜日

Rakuten

6月3日、プロ野球チーム、楽天の田中将大選手が交流戦の阪神1回戦に先発しました。この日は7回までで4失点となりましたが、打たれても、打たれても打線が好調で取り返してくれます。大量の援護に守られた田中選手は、セ・リーグ首位を独走する阪神から今シーズン6勝目を挙げました。この日のストレートは今シーズン最速タイの152キロをマークしたものの制球が定まりません。首をかしげながらマウンド上でシャドーピッチングをするほどすべてにくるしんだ投球で、田中選手が笑顔を見せたのは、試合終了後のハイタッチの時だけでした。1回、ワンアウト、2塁で新井選手には初球の146キロのストレートをはじき返され、センター越えのタイムリーツーベースヒットとなりました。首脳陣は田中選手を信頼し、前日2日には、交流戦期間中は黙秘を続けてきた先発を公開し、結果こそ期待通りでしたが、9安打4失点での降板には課題を残す投球となりました。このところずっとよくなく、原因を究明しないと、悪いままずるずると行ってしまうと野村監督も不安を感じているコメントをしています。この日は球団新記録の6イニング連続得点をマークするなど打線が爆発し、彼が投げれば点が取れるという昨シーズンのジンクス通りの結果でした。しかし、2年目の今年はそれでは安心してまかせることができません。球団最速で30勝に到達したものの、さらに上位をうかがうには田中選手の安定感が必要不可欠となるからです。調子が上がらない理由のひとつが腰の状態と言われており、投球の修正といってもその腰の状態が戻らないうちはむずかしいでしょう。目下はいかに現状でのベストを尽くすかが大事になってきます。楽天は阪神に勝ち交流戦首位タイをキープし、阪神との交流戦は通算6勝11敗です。甲子園球場では1勝7敗と分が悪いのですが、本拠地のKスタ宮城ではこれで5勝4敗と勝ち越しです。また、楽天の交流戦ホームゲームの成績は2005年6勝12敗、2006年9勝9敗、2007年7勝4敗1分けで、今年はここまでで5勝2敗です。

2008年6月3日火曜日

Turio

先日、横浜スタジアムで、ワールドカップアジア3次予選の日本対オマーン戦が行われました。この試合で引き分け以下なら最終予選進出に暗雲が漂うと同時に、岡田監督も更迭必至の空気でした。3月のバーレーン戦で敗れた後、選手の間では指揮官への不満が噴出するという最悪の事態でした。しかし、選手たちを一人一人説得して、チームをまとめあげたのはこの日先制点をたたき出した中沢選手でした。前半10分に、遠藤選手の左コーナーキックに中沢選手が豪快に飛び込んで重苦しい雰囲気を一掃し、流れを呼び込みました。この日はこの崖っぷちという状況がよかったのか、いつもの日本代表ならば先制点のあとは油断したり、浮き足立ったりしてまったく攻めっ気がなくなっていたのが、この日は先制点をとった後も変わらず攻めの姿勢を見せており、集中力も保っていました。そしてだれもが目を疑ったのが、前半22分の2点目のシーンです。中村俊輔選手からのロングフィードを最前線で受けて、頭で落として大久保選手に絶妙なアシストをしたのは、最終ラインにいるはずのDF闘莉王選手でした。浦和ではボランチとしてリーグ戦6得点を挙げ、攻撃センスを発揮していましたが、この攻め上がりを岡田監督は一時禁止していました。しかし、この試合ではどんどん上がれと解禁。通常はチームでゴールに絡むさいは、ドリブルやパスなどでボールを自分で運んでいくのですが、この日のアシストは誰も気づかないうちに最前線へと駆け上がっていました。この時得点を決めた大久保選手も後半に交代するまでガッツのあるプレーでチームを引っ張っていました。2日前まではへんとう炎のため39度の高熱にうなされ、調整も満足にできていない状態でのこのパフォーマンスは目を見張るものがありました。そして後半4分の中村俊輔選手のゴールです。このゴールはもちろん中村選手の技ありのシュートなのですが、この得点が生まれる前のワンプレー、松井選手の個人技からのパスが絶妙に絡んでの得点でした。このワンプレーに日本代表の明るい未来が見えたようなそんな気がしました。ただ、相手は格下のオマーンでしたから、今後の試合でもこういったプレーが見られると世界でも上位のチームに成長するような気がします。